築地と豊洲の間から

東京湾沿いから、思ったことを書いてみます。

美女と野球

 

f:id:knight76:20180818094916j:image

うちにはDVDプレーヤーがない。あるのは15年前に親に買ってもらったシャープ製の液晶テレビ。当時は世界の亀山工場で作った最新鋭のテレビも古すぎてまともに見れなくなっている。

そんな環境で生活していたこともありDVDを借りて映画を見ることなんてなかったがamazonのプライム会員になった状況が一変した。いつでも映画が見れる状態になってしまったのだ。

なかったらなかったで困らないものも、あれば使ってしまう。昔から自分の部屋では欲に負けて何もできなくなる質だった。なんでも。

今年のゴールデンウィークだったと思う。外出する予定だったのがついiPhoneに手が伸び、映画を選んでいる自分がいた。その時に見たのが「SCOOP!」という映画だった。福山雅治主演でスクープ記事を狙っているパパラッチの映画だった。映画全体的にどこと怪しげな雰囲気は、そのストーリーが醸し出すものだったと思うが、際立ってどんよりした雰囲気を出していたのがリリーフランキーの役だった。ひ弱そうだがケンカがやたら強いチンピラの役で、ストーリーの大きな鍵を握っている人物だった。

あ、そうなるの?ってくらい豹変する役にその少し前に見た「そして父になる」とのギャップを感じ得なかった。

 

その時15年前に見た番組を思い出した。ココリコミラクルタイプという番組だ。ココリコが一般人から投稿があったおかしい体験をコントっぽく演じるコメディ番組だが、確かそれにもリリーフランキーは出ていた。当時中学生だった私は変なおじさんがひな壇にいるくらいしか思ってなかったが、当時から活躍したいたこの人に妙な魅力は感じた。よく知らなかったが、作家であるこの人がどんな本を書いてるのか気になりすぎて手に取ったのが「美女と野球」だった。リリー氏のエッセイ本だ。

 

98年、横浜ベイスターズが優勝した年に書かれたこの本の内容は、まぁ下ネタだらけだった。時代だからだろうか、今書いても出版できないんじゃない?というレベル。しかしながら全然いやらしさは感じない。むっつりじゃないからだろうか、電車の中で読んで、隣に美人が来て横目で見られても全然気にしない。人によるか。

本の一部に母が病気になり、田舎から東京に来るという話があったが、きっとその後に出版された「東京タワー」の元になった内容だろう。次は東京タワーも読んでみようかな。

 

私は本の中でもノンフィクションが好きだ。実際に体験したことは、文章に起こした時に力が宿っている気がして、飲み込まれる感じがする。

実はこの本で一番グッとした表現をしていた箇所がある、あとがきだ。

05年にこの本が文庫本になった時に著者が書いた表現は、それ以前に書いた表現とはまるで違うものを感じた。ちょっと書きたくてもかけない。すごく素敵な表現だった。嵐がきている車の中でそんなこと考えられるのか、私ならきっとただひたすらに帰りたいとしか思わない。

 

15年前、テレビでひな壇で変なことばっか話していたおじさんは、こんなにも文才がある人だったのか、なめていた。